「未来」を見据えて

事務局です。

引き続き、感染症に関わって様々な制約下にはありますが、新しい生活様式のもと、新たな形での学びも盛んに行われる世の中になったように感じます。特に、今までであれば現地に直接行かなければ得られなかった学びが、Zoom等を用いたオンライン研究会や講習会の形で得られるようになったのは、興味深いですし、有難いことだと感じています。

さて、本校では、8月から9月にかけて教育実習生を受け入れることができました。例年は4週間である教壇実習が3週間に縮小されはしたものの、無事に対面での実習が滞りなく行われたことは、学生だけでなく、我々教員にとっても大きな学びとなりました。以下、英語科実習生の先生方が実習録に残していたコメントを、少しご紹介させてください。

 

生徒のことを中心に考えることができれば、自然と活動の案や単元とのつながりが見えてくる。

・実習に来て本当に良かった。生徒のために授業を準備したことなど、誰かのためにここまで準備したり時間をかけたりしたことはなかった。

生徒との関わり方、生徒指導、自分の教科で大切なことなど、実際に現場を経験しなければ感じることができなかった。

・回を重ねるごとに生徒とのコミュニケーションを図る余裕ができ、授業を楽しめるようになった。

・取り上げる内容に対しての適切な指導を考えれば考えるほど行き詰まってしまったので、皆から意見をいただけたことは本当にありがたかった。全体で同じ単元、一つのものを作るという意識が強くなったし、作業を分担して人に頼れる環境を作る、一人で抱え込まないことも重要だと感じた。

「頑張ったからこそ悔しい気持ちが生まれる」という言葉は、生徒だけでなく、実習生にも響く言葉だった。「悔しい気持ちが生まれるのは頑張りの証拠」と言い換えて、授業が上手くいかなくて悔しいのは頑張っていることの表れではないかと思う。自分が費やした労力や過程を肯定しても良いのではないかと感じた。

・4クラス全部の授業が終わる頃には「授業をすることが楽しい」「生徒とコミュニケーションを取れることが嬉しい」と感じるようになった。これらの出来事は、自分にとっては大きな変化だったと思う。

先生一人一人のもつ雰囲気は、そのまま授業の雰囲気を作ることが多い。

・今思い返してみると、私が中学生、高校生だったときの英語の先生も同じようなことをしていた。この活動にはこのような意図があって行われていたのだと分かり、面白いと思った。自分が受けていた授業も、教師目線で考えると全て意味のあるものだったのだと気づくことができた。

・教科書に載っていないことまで気づいた生徒がいて、素晴らしいと思った。こんなふうに生徒とやり取りをしながら授業を進めていくと、こんなに授業が楽しくなるのだと分かった。

目的をもって活動することの大切さを学んだ。目的を明確にすることで、生徒も活動に意味や価値を見出すことができる。生徒が活動に意欲的になり、活動の質を高めることができる。私は今まで、頭では分かっていたけれど、やはり現場に出て、実際にそれを目の当たりにすると、大切さがよく分かった。

・今回初めてルーブリックを作成したが、どのような観点で、どのような方法評価するかを各段階に分けて提示するのがとても難しかった。また、作成だけでなく、授業でどのように活用していくのかが、生徒のパフォーマンステストの質にも関わってくると思う。

・単元全体を終えてみると、当初予定していた指導案の内容が、実習後半になるにつれ、変更されていると思った。しかしそれは、自分が実際に授業を行い、教材観、生徒観をより深く把握でき、生徒に合わせた授業づくりを心がけた結果だったと考えている。

・教員という仕事は1日1日が同じ日などなく、毎日が新鮮味に溢れている素敵な仕事だと思う。

・実習期間中も生徒から学ぶことがたくさんあった。生徒の発言から様々なことを考えさせられた。毎日日々成長していくことができる仕事に、本当に憧れている。きっと楽しいことばかりではないが、私は将来、絶対に教員になりたいと思う。

 

タイトルを「未来を見据えて」としました。

「未来」には、新学習指導要領完全実施の年に当たる来年度だけでなく、教員になろうという気概をもって今まさに学びを重ねている学生の方々が教育現場に出られる頃、今の中学生が大人になって社会に出る頃、「シンギュラリティ」が到来すると言われる2045年など…様々な「未来」を込めました。

「予測困難」という言葉をあてがわれる、これから訪れる新しい社会ですが、子どもたちにとって新しい社会を「未(ま)だ来ない」と道の先を見ようとしない「未来」ではなく、「将(まさ)に来る」と見通しをもてる「将来」にできるのは、教師なのだとつくづく感じます。

実習生の方々が教職に対して希望ややりがい、熱意を抱いてくださったように、仲間とともに学び、成長し続けられる教師でありたいと改めて思いました。学びを止めない、学び続けられる場の設定。現職の教員だけでなく、教員を志す学生さんも含め、校種や立場を超えた学びの機会が保障されるよう、県英研事務局でも思案していきたいと思います。

 

 

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あれから7年

事務局です。

今日は3月11日。2011年に発生した東日本大震災から7年が経ちました。各学校でもこの7年、総合的な学習の時間や道徳の授業を中心にしながら、復興教育の推進が図られてきたことと思います。また、英語の授業の中でも折に触れ、震災復興について考える機会があったことと思います。「チーム岩手」一丸となり、将来の復興を担う素敵な子どもたちを育てていきたいものです。

今年度最後の授業が本校でも終了しました。今年は最後に“Tomorrow Never Comes”という詩を朗読。邦題は「最後だとわかっていたなら」…今年、そして昨年の3月11日付で岩手日報に掲載された詩です。朗読中は皆、声も立てず真剣に原文と向き合っていました。未習語は少なからずありますが、それを補って余りあるほどの詩の内容の豊かさ。ことばを扱う教科の教員として、技能は勿論ですが、それを支える豊かな心を育みたい、そのためにも様々な「名文」に出会わせたい…改めて感じた瞬間でした。

 

さて、復興教育に関わって、会員ページには、一関市教委作成「3.11 Voice」(復興教育用英語読本)を掲載しております。県内で働くALTの先生方や外国人の方々から寄せられた東日本大震災への思いを一冊にまとめたものです。以下、ほんの一部だけですが内容をご紹介します。

 

…The most impressive thing for me was seeing the people who had lost family, friends, homes and businesses bow to me and say, “Arigatou” or “Otsukaresama deshita” or “Ganbatta ne” when we finished our volunteer activities.

I was so humbled by this experience that people who had experienced so much horror, could still find kindness and gratitude for something so small that we had done. People who had lost so much, and were worried about what they would eat, or where they would live, would be so cheery and laugh with us and pat us on the back and say to me in English, “Good job!” …

 

授業でそのまま使えるよう、挿絵や注釈、設問も加えられています。32タイトル、108ページにわたるボリュームです。これらもまた「名文」。「心」を育む一助になるのではないかと思います。多くの先生方にご活用いただけたなら幸いです。(非会員の方で興味をお持ちの方は、事務局までお気軽にご相談ください。)